SSブログ

犬のテリトリー [Dog Behaviouring]

先日、再びロンドンのジャックラッセルテリア、トロに逢いに行きました。
前回、訪問した際の状況を踏まえての再訪問ということになりました。

DSCN5352.JPG
ジャックラッセルテリアのトロ

彼女は来訪があると吠える事があります。また、自分の庭に鳥が入ってきたり、隣のお家で物音が聞こえたりすると吠える事があります

ここで基本的な情報として、日本で人気のダックスフンドやハウンド系、またテリア系の犬は彼らの本能上「吠える」ケースが他の犬種に比べ多いです。それを「無駄吠え」と訳した自分勝手な人間は誰だかわかりませんが、この本能が人間社会での生活において「無駄」になる可能性は非常に高いです

※だからと言って、これらの犬種を飼うなというのではなく、そういった本能があると理解した上で飼う、またドッグトレーニングを始める必要があるよという事です

DSCN5345.JPG
小さくて可愛いトロ 性格も素晴らしい

また、来客があるとしばらくテンションをひく為に吠え続けるようです。これに対して、始めに僕が下した決断は「来客・飼い主ともに吠えている間はトロをあまり気にしない」をすることです

よく言われるように、犬がテリトリーを守るにしろ、テンションを集めるにしろ、吠え続ける行為に対して飼い主が「やめなさい!やめなさい!」と叫んでいるのは最悪のケースです。それが犬の攻撃性、もしくはテンションを集める好意を助長する可能性が高いと考えられるからです。

また、同時に良く使われる方法としてクイック療法があります。(僕はこう呼んでいます)これが日本でも一般的だと思いますが、紐を急に引っぱってショックを与える、それに加えて「NO!」と一喝する。他には首根っこを掴んで捻ってしまう。また、砂入りのペットボトルを投げつけて、天罰を与えるなどの方法が唱えられています服従と恐怖で、飼い主から(もしくは何かのショックを与えて)駄目な事をしては駄目ということを伝えるという方法です。

クイック療法は素晴らしい効果を生める可能性が高いですし、解決不可能な問題を越えて幸せをつかめる可能性も高いと思います。それだけにプロが携わり使うべき技だと思います

なぜなら、そういったトレーニングに感化された犬のオーナーが犬をどうにもコントロールできなくなり、動物愛護センターに犬を捨てに来るという現状を何度も見たからです

この事実は、クイック療法には攻撃性を助長する可能性があるという事だと個人的には考えています。力で抑えたストレスは何処へ行くのか。Win-Loseの関係であると、絶対的な信頼と犬との友好関係は気付けません。所謂、僕の目指している「」というのは、クイック療法では成り立たないと考えています

DSCN5342.JPG
トロの後姿 なんとも言えない可愛さ

プロのガンドッグに仕立てたい、何らかの選手権に勝ちたいというのなら別なのだと感じています。

しかし、僕自身はそういったトレーニング方法に興味はあっても、素晴らしく服従した犬に対する興味はあまりありません。素晴らしいですが何か少し物足りないと思う。やはりペットとして飼われる犬と飼い主には「笑顔」や「幸せ」が見え隠れして欲しいと願うからです。それが僕の目指しているトレーニング方法・ビヘイビアリング方法のゴールの1つです


さて、来訪するお客様に対するトロへの対処法として色々考えさせていただいた結果、1つの結論に至りました。

①吠えている理由がテンションを集めたいだけのものだとしたら…

吠えるのが止まるまで待って、吠えが止まれば褒めてやる、おやつをあげるなど習慣化してあげる。

ところが、こういった事に慣れていない犬はそういった行動をした人間に対して不信感を持ってしまう。(徹底的に無視されたり、目もあわせたりしないなど。)

不信感が強いものに対する攻撃性に繋がってしまう可能性がある。と、勉強になりました。

そこで…
②恐らく、吠える理由にはテリトリーの問題もあると考えられる。

それは、実際にトロが庭に入ってくる動物、また音に対する警戒心が高い事
加えて、先日訪問した際は一旦外であってから中に入った為か、あまり吠えられなかった事
そして、今回僕が訪問した際には突然の来客であった為、前回とは違い警戒のレベルが明らかに高かった事

【結論】
これらを踏まえて、少し面倒かもしれませんが、どうしても吠えを抑えたい場合は、先にテリトリー外で(家の外)挨拶を済ませてから、一緒に、もしくは先に来客に入ってもらうという方法を取りました

【理由】
トロは家(テリトリー)の中に入ってくるものへの警戒心は高い。しかし、外出・散歩中にある人々への反応は素晴らしいものがある。(絶対に吠えないし攻撃性のかけらもなく、どちらかというと好意的で触ってくださいというように見える)

良くある犬の行動として自分の家では偉そうでも、外になると八方美人になったりする犬が居ます。所謂、内弁慶犬ケースです。なぜなら、家の中は自分のテリトリーであるから、と考えるのが自然な解釈ではないでしょうか。

【実践】
実際に一緒にでた散歩から帰ってきた時に、他のご友人の来客があったので早速実践する事が出来ました。外で逢うトロとその家族の光景は何とも微笑ましいものでした。家に入ってからも、多少の吠えはあったものの、既に自分自身の中であっている人が中に入ってきたという思いがある性か、そこまでの執着心はないように見えました

DSCN5350.JPG
庭を探索中のトロ

但し、これだけが理由ではないかもしれないので、引き続き様子を見る必要があると考えています。

Dog Behaviouringは時にして、とてつもなくシンプルに解決できる場合があります。かなり多いといっても過言ではありません。しかし、決め付けが多くの危険をはらむ事も理解せねばなりません。個別の犬種・年齢・オスメス・性格によって、かなり差が出てきますので、実際に目で見て触れるまでわからないというのが事実です。

ただ、間違いなくDog Behaviouringをすることにおいてのメリットがあります。

それは犬を始めて詳しく観察するという事それによって愛情が増すこと、新たな気付きがある事は間違いありません

こう考えているかもしれないという事が、悩みではなく楽しみになって頂ければ、その飼い主と犬の幸せの絆は徐々に出来上がっていくと思います。

今回、時間をかけてトロを診たことで、より一層愛着が湧きました。そして、彼女の素晴らしさも多く知っている事によって、決して諦めず観察して良い関係を飼い主さんと気付かせてあげたいなという思いにも繋がりました

それがとても素晴らしい。やはりこの仕事を選んでよかったと思える瞬間です。次にまたトロに逢える事が楽しみで仕方ありません!
nice!(4)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 4

コメント 2

yutori

先日もありがとうございました。
ほんと下村さんの言うとおり、いろいろなことに気が付かされています。
今は、良くない行動をしたときに、気を逸らせる為だけに、うっかりリワードを与えることにならないよう気をつけています。
今日、洗濯機の修理のためにエンジニアが来ることになっているので、ちょっと協力してもらおうと思います。
上手くいくかしら~(^_^;)
by yutori (2010-04-30 16:40) 

takuyashimomura

yutoriさん

こんにちは!先日はこちらこそ大変有難う御座いました。また、美味しいお昼ご飯まで頂きまして本当に有難う御座います。

トロは素晴らしく賢い犬です。それだけは間違いないです!その為、一つ一つの行動でトラウマを作ってしまうのも問題ありなので、是非リラックスしてトレーニングに掛かってみてくださいね。

顔を知っている友達だけじゃなくて、全く知らないエンジニア(恐らく男性ですよね?)に上手い事働くかな?僕も楽しみにしていますので、是非楽しんで行ってみてください。

それでは、またご連絡お待ちしております。

有難う御座いました!
by takuyashimomura (2010-05-01 04:01) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。