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犬に噛まれました。 ~Dog Behaviouringから学べる事~ そして、伝えたい事 [Dog Behaviouring]

昨日、とあるご家庭にDog Behaviouringに行った時、そこの犬に噛まれてしまいました。

やはり自分がどんくさいのか。←これは生まれ持った性格かと…。

犬の力を甘く見ていたのか。←そんなつもりはないけれど、自分を過信していたのか。

兎に角、自分では最大限何も起こらないギリギリまで踏み込んでいたつもりでしたが、2度も噛まれてしまいました。

(犬種や年齢、場所などはプライベートな為、ご質問頂いてもお答えできませんので悪しからず)

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親指と人差し指の間に

ここから何も学ばなければ、わざわざブログに起こすほどの事ではないのですが、その後飼い主の方から非常に丁寧なメールを頂き、感動しましたのでお伝えできればと思いブログに書く事にしました。

今改めてそのメールを読んで、また心が動きました

明日から早速、改善に向けて努力されるとの事。
そして、また経過報告を頂いて、その後のアドバイスを、との事。

日本に帰ったときに、犬の飼い主の皆様がこの様であってくれることを願います。

どの様な状況であれ、犬と飼い主が共に前進しようとする心は本当に大切なのです。

それが「絆」を生みます。それが本当に犬と飼い主の正しい関係なのだと僕は思うのです。

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ブルークロスにいた頃

もうご承知の通り、僕はブルークロスというアニマルウェルフェア(動物保護団体)に居ました。

そこには、所謂どうしようもない犬が数多くおり(噛む・吠える・逃げるetc)そういった犬達をBehaviouringし、TrainingしてRehomeするという一連の流れが出来ていました。

保護団体は「保護する事」を目的としていますが、どうしても健康上・また行動上問題のある犬は、残念ながらCapacityの問題で殺処分するという選択を取らざるを得ません。

(この事について賛否両論ありますし、犬の命を軽く見ていると思われるかもしれませんが、それが事実である事は如何に繊細な話題であっても触れる必要があると思います。そして、「どうしても」という所が大変重要です。少なからずブルークロスでは犬を殺めるという行為には最大限の努力をしていたと私の目を通じては感じておりました。)

以前も記述したとおり、Animal WelfareでのDog Behaviouristの仕事の最大責務はこのジャッジメントにあります。

つまりは、犬を殺す生かすかという選択を決断する仕事なのです。

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そういったアセスメントの結果、救われた沢山の犬たち

昨日の犬は残念ながら、そういう犬でした。

決して同じではないにしろ、保護団体に預けられた時に殺処分の決断を取られかねない犬でした。

イギリスではRSPCAという保護団体があって、彼らはアニマルポリスといわれる仕事も行っています。

隣人から「噛まれた。強暴だ。大変だ。」などと報告があった場合、飼い主に有無を言わさず取り上げられ(一応確認はすると思います)、犬が保護されてしまうケースもあるようです。

日本での現状は知らないまでも、未だ番犬メインの日本ではこういった機関があると次々に逮捕者が出るのかも知れません。

だからこそ、イギリス人は躾やトレーニングに熱心であったり、犬の知識を沢山持っていたり、飼う側・飼わせる側双方に強い約束を必要とされるのです。

犬に噛まれちゃったという昔のブログエントリー
http://takuyadoglovers.blog.so-net.ne.jp/2010-02-18

僕は犬に噛まれる事が、Dog Behaviouristとして非常に大切な事ではないかと思います。
(犬のプロとして有るまじき行為と言われたり、プロの中ではそういった経験はあっても言わないという人は多いと聞きますが、僕は受け入れるべき事実ではないかと個人的に感じています。)

そういった経験をどう捉えるかは人によってマチマチですが、犬をもっと知りたいと思う以上、ムツゴロウさんではないにしろライオンに遣られる位の覚悟は必要ではないかと思うのです。

だからこそ、本気で伝えられるものもあるかと思います。

イギリスの素敵な犬達に癒され、いつも暢気に楽しく犬の仕事をしていたけれども、何か鋭い縁で少しシビアな方向へ引き戻されたような感覚に陥りました。

これからも謙虚に。そして誠実に活動して生きたいと思います。

下村拓哉

PS 犬は心の繋がるオーナーを常に必要としています。犬との絆を深めるには、まず犬と向き合い、そして犬と同じ方向に向かって歩き続ける事が大切です。決して犬を諦めないで下さい。犬はあなたを必要としています。
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ボーダーママ

手、大丈夫ですか?赤くなってるのが写真でわかります。
私もよく飼い犬の柴犬に咬まれていたので、痛みはわかります。
しかし、しもたくさんには大変申し訳ないですが、やはり、この状況で一番心配なのは(しもたくさんのケガが大ケガでなかった、という前提で)飼い主さんです。
きっと、申し訳ない気持ちでいっぱいでいらっしゃるんだろうな、と思います。
センターでトレーナーに噛みついたシェパードの飼い主さんの顔が今でも脳裏にあります。
飼い主さんには二通りがあって、きっと、犬をあきらめずに矯正しようと努力する人と、とっととあきらめて捨ててしまわれる人。
今回の飼い主さんが、犬と共に頑張ろう、と言う方で良かったし、しもたくさんも安心されたと思います。
ウチの隣人はシェパードをさっさと手放しました。多分シェルターかと思われます。
原因は「オタクの犬を咬んだりするかもと心配だったから」。
「は?」と思いました。
お互いの庭は180cmのフェンスで囲まれています。なぜ、そう思う前に、じゃあ、己の犬の攻撃性を押さえる訓練をしない?
いつも狭いサンルームに閉じ込めて遊んでやることもせず、犬がストレスたまって攻撃的になって当たり前ですよね。
今回の飼い主さんは、きっと愛犬とともに改善策を見つけ出されるに違いない、と私は信じています。
しもたくさんもお大事にしてください。
ちなみにムツゴロウさんは、ライオンに指を食いちぎられた後すぐ手術をし、その後またすぐにそのライオンに会いに行かれたのを覚えています。
飼い主さんの気持ちを考慮して、という意味合いもあったのだと思います。
今も北海道で活動されてるのかなぁ。
by ボーダーママ (2011-02-08 07:16) 

takuyashimomura

ボーダーママさん

いつもコメント有難う御座います。

また、本当に文章からストレートに物を仰って頂いている様子が伝わり、海外在住者としては(これは偏見か)非常に嬉しいものです。

手は全く大丈夫です。指なくなったらさすがに困りますけど、犬も本当は噛みたくないんですよ。僕にはそう見えました。

でも、今回は学ぶ事の方が非常に多かった。

自分自身が自信を持って軽率な行動をして噛まれたと言えるからこそ、それ程犬にとって僕の手をアタックしたいという何かがあるという事を深く考えさせられました。

良い切欠、悪い切欠。どちらでも良いんです。

でも、少なくとも前進したいと願うこの様な素敵な飼い主達が増えていく事を僕は切に願います。

ご心配有難う御座います。今度は不意をつかれても噛まれないように、どんくさいのを治していくしかないですね(笑)
by takuyashimomura (2011-02-09 03:24) 

ラブレイ

はじめまして!
同じ日に私も噛まれたので、おぉ!と思い、ついコメントしてしまいました。。
いつもこちらのブログで楽しく拝見させていただいております^^
私は日本でレスキュー活動をしておりまして、先日保護犬のゴールデンに噛まれました~


>最大限何も起こらないギリギリまで踏み込んでいたつもりでしたが…
これ私も同じように思い、同じ過ちをしました!!なんかうれしいです笑(まぁ私の場合それ以外にも理由はあって、完全に私が悪いんですけどね^^;)


またイギリスの動物愛護について、レスキュー団体について大変興味がありますのでちょこちょこのぞかせていただきます☆

ではでは失礼いたしました、手お大事に…
by ラブレイ (2011-02-10 00:40) 

JUDYママ

私もこの仕事をしていると、しつけ教室に通ってこられる生徒さんのワンちゃんにかまれることがあります。
犬にはこれ以上、人に歯をあてる経験をさせてはいけないのが大前提ではありますが、噛んだときに適切な対処をして、噛んではいけないことを教えることも必要です。
同じ訓練士仲間でも絶対に噛ませてはいけない、噛まれたことを公にしてはいけない、訓練士の恥だという人もいます。
でも、私の数少ない体験のなかでは、噛んだワンちゃんたちがその後、噛むことをやめて、私との関係、飼い主さんとの関係がよくなっているのも事実です。
犬たちは、自分の気持ちをうなる、吠える、噛むなどでしか表現することが出来ませんものね。
その気持ちをしっかりと読み取り、受け止めてあげるためには、噛まれることを恐れてはいけないんだと思います。
どうぞ、お怪我、お大事になさってください。
追伸。
日本にお帰りの際、ぜひともお話が出来ればうれしいです。
by JUDYママ (2011-02-10 23:39) 

takuyashimomura

ラブレイさん

コメント有難うございました。
ブログ拝読致しまして、日本にも力強く保護活動をされていらっしゃるのだと知り少し嬉しくなりました。

是非、今後とも宜しくお願いいたします。
by takuyashimomura (2011-02-11 01:54) 

takuyashimomura

JUDYママさん

プロフェッショナルとして丁寧なコメント有難う御座います。

噛まれる事を恐れてはならない。しかし、噛まれる事は極限まで回避する。まさに仰られている通りですね。

是非、日本へ帰ったときは宜しくお願い致します。
by takuyashimomura (2011-02-11 09:22) 

ラブレイ

コメントありがとうございました!
是非帰国したときにはお話を聞かせてください!!
楽しみにしております~^^

by ラブレイ (2011-02-13 10:14) 

takuyashimomura

ラブレイさん

こちらこそ、今後とも宜しくお願い致します。

この国には勉強になる事が沢山ありますので、機会が御座いましたら是非お越し下さい。
by takuyashimomura (2011-02-15 04:48) 

waggy tails

こんにちは。はじめまして。
日本でwaggy tailsというトリミングのお店をやっています、トリマーです。

10年近く前になりますが、cheltenham(gloucestershire)のグルーミングサロンでCity&Guildsのグルーマーの資格を取るべく、1年半ほど修行していました。

田舎の町でテリアが多かったのもあると思いますが、普段フレンドリーな犬でも、嫌なことは絶対イヤ!!(唸る、威嚇をすっ飛ばして、ガブリ)という、はっきりした性格の犬が多かったのを覚えています。
実際、私も3回ほど咬まれましたが、全部ウェスティーでした。

イギリスの犬達って、自分は犬なんだと自覚したうえで、家族の一員として飼い主さんと付き合っている感じがして好きです。
(日本の犬達も好きですが、自分も人間なんだと勘違いしてるんじゃあ・・・って思うコが多いので)

帰国後はずっと日本でトリミングをしていますが、イギリスでの生活は、とてもいい経験です。

今回、偶然しもたくさんのブログを見つけて、懐かしいイギリスの犬の風景に、ついコメントしたくなっちゃいました。
また覗かせていただきます。
頑張って下さい。


by waggy tails (2011-02-20 14:56) 

takuyashimomura

waggy tailsさん

初めまして、またコメント有難う御座います。

イギリスで修行されたトリマーさんなんですね、素晴らしい!

是非、また日本に帰国した際には宜しくお願い致します。

イギリスの犬の事をご存知の方とお話しするのは楽しいですよね。また、日本の犬との違いなど色々とご教授頂ければ幸甚です。

それでは、また宜しくお願い致します。
by takuyashimomura (2011-02-20 21:40) 

NH

イギリスで動物看護師やってます。3年前に一時帰国した際、田舎の親戚のビーグルに手を噛まれました。
庭に繋がれたまま、泥だらけになって1日中1人ぼっちで吠えているいる姿をみたら、可哀想にと思って・・ろくにかまってもらっていないということが明らかでした。そこで私は少しでも遊んであげようと思ったのです。が。餌のボウルを近くに寄せてやった瞬間、がぶっとやられました。餌への執着だったのでしょうね。
私もかなり油断したので、反省しました。(手、縫いました )
しかし田舎とはいえ、私のイギリス流 動物愛護精神(?) からしたら、こんな犬の飼い方ありえない!!と思えました。
まず第一に、飼育環境がひどすぎる。それプラス、しつけをしていない 、ろくに相手をしてやっていない。
イギリスでこんな飼い方したら、通報されますよ?!って、飼い主さんにレクチャー(?!)してきました・・
by NH (2012-12-01 05:16) 

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