SSブログ

Blue Crossでの仕事 ~犬の散歩の極みとは?~ [Blue Cross]

今、僕はBlue Crossというイギリスのとある動物保護団体でボランティア活動をしています。

イギリスには数多くの動物保護団体があり、その中では有名なRSPCA、犬に関して言えばDogs Trustなど。Batterseaといえばロンドンにある動物保護団体で、ロンドンの人なら「ウチの子は、Batterseaから引取ったのよ」といえば、それが一つのブランドになってしまうくらい。(それ程、里親に対する要求が高いということもあります)

動物保護団体というのは、日本語にすると少し違和感があります。英語だとAnimal Adoption Centre、もしくはAnimal Welfare Organisationなどなど。「団体」と書くと変なイメージがどうしても僕の中にはありますが、実際働いてみますと、かなり健全な企業という風土です。

DSCN4435.JPG

今、僕が働いているBlue Crossの本部Burford Centreでは、管理部などの中枢を担っている施設に加え、犬舎、厩舎、猫舎、小動物舎など、だだっ広い敷地にポツンポツンとまるで一つの村の様に動物の住処が置かれています。

犬に関して言えばここは本部でもあるので、イギリス国中から問題を抱えた犬、もしくは捨てられた犬、拾われた犬、飼いきれなくなった犬などをRe-Home(日本語では里子にだす。でしょうか?これも変な感じがしますが…。)する事を目的としています。

DSCN4437.JPG

ですから、血統・年齢・性別も様々。もっと言うと、「性格」。さらに詳しく言えば「その犬が抱えている問題」などが、一匹一匹それはそれは個別に違うのです。そういったCentreだからこそ、Animal Behaviourという概念が生まれてくるのです。ドッグトレーニングだけでは解決できない問題の解決、もしくはそういった問題を未然に防ぐための観察。それがBehaviouristの仕事でもあります。

DSCN4439.JPG

先日は、上の写真3匹の犬の散歩をしました。

※唯、散歩するだけでなく「考察しながら散歩する」(これ、結構面白いので、犬を飼っている方にはお勧めします。)歩いていくる人、突然出る鳥や鼠、他の犬(オス・メス)、音に対する反応、光に対する反応、何が好きで何が嫌いか。「何、考えてるんだろ?」が最大の肝です。そうすれば、自然とコミュニケーションが取れるようになると思います。

①「Maisy」幼い雌のテリア(多分、ヨーキーのクロス)。呼んだら付いてくるし、見た目も可愛いですよね。だからこそ、テリア種には多くの問題があります。

②「Lassie」Mix(恐らくビーグル系が入っている)。この子は素晴らしい犬です。ノーリードでも横についてくる。完璧に躾けられた犬。の様に、見えますが…。

③「Mable」こちらもテリア系(の様に見えます)。力強く、頼りになります。散歩する人(この場合は僕です。)の顔を見ずとも、人間とはコミュニケーションが取れる。ところが。。。


下記のようなケースは、ごく一般的に日本で抱えられている問題の良い例です。

MaisyとLassieは「人に対しての恐怖心」がとても強い。触ろうとしたら、震えます。呼んだら付いてくるのは、飼い主を信頼しているのではなく、「怯えている」のです。こういった犬たちは目を見れば、良く分かります。その様なトラウマを持ってしまったのは、以前の飼い主との付き合い方が大きく影響します。勿論、それだけではないかも知れませんが(例えば、家の中で留守にしている時に外で何か起きた。など)。

Mableは、人に対しての信頼は高くても、犬に対しての信頼が無いパターンです。散歩中の社会化不足、もしくはこの犬種特有の他の犬に対しての攻撃性、家の中で他の犬と飼われていた時のトラウマなど、可能性はありとあらゆる物が考えられますよね。


いわゆるDog Trainingでは、問題を一見隠すことは出来ても、問題を心から治癒することは出来ません。なぜなら、Dog Trainingは飼い主の指示に従う事を教えているだけですから、それで解決するはずが無いのです。それが有効ではないということではありません。Trainingを通して、信頼関係を気付いている犬と飼い主のカップルは素晴らしいものがあります。(Dog DanceやObedienceなどの競技だけでなく、ノーリードで散歩できたり、知らない人がきても吠えなかったりというのが良い例です)

Dog Behaviouringは、「犬の問題を根治できる可能性を探し出す手段である。」と僕は考えています。

まずは、「犬の散歩から変えてみる」。それも犬との大事な信頼関係を繋ぐ一つの仕事なのだと捉えれば、もっと愛犬とコミュニケーションが取れるようになると思います。
nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 6

こんちゃん

呼んだら付いてくるのは、飼い主を信頼しているのではなく、「怯えている」のです。ってあるんですか!飼い主がうまく教えれたからだと思っていました。怯えてるから付いてくることもあるんだ。わんちゃんにもいろいろありますね。生きていくには。
by こんちゃん (2010-02-16 23:10) 

takuyashimomura

こんちゃんさん

あると思います。どっかのセリフではないですが、本当にあると思いますね。まだ、震えている犬なら分かり易くても、内的な思いを外に出さない犬もいるので(我慢強い日本犬とかは多いかも知れません)そういった犬は、一見懐いている様に見えて、ストレスの頂点で「ガブリ」とやってしまいかねません。

生きるために怯えているかどうかは分かりませんが、それでも犬自身が「それが一番良い方法だ」と思っていることには違いないので、そこをよりよい形に変えれれば凄くいいですよね!
by takuyashimomura (2010-02-16 23:23) 

こんちゃん

なるほどなるほど。
ぜひいろいろとわんちゃんの気持ちを理解できるようになりたいものですね。
最近チンパンジの研究が進んでいるようで、人間は一生懸命チンパンジが何を考えているかを理解しようとしているみたいです。
わんちゃんもチンパンジも人間も、同じ生き物とすて、お互いに理解したいものですね。
by こんちゃん (2010-02-18 00:43) 

takuyashimomura

こんちゃんさん

いつも有難うございます!
そうですね。犬の言葉が分かる「バウリンガル」たるものが日本でも一世風靡しましたが、そういった物が将来的に開発されればとても楽しく犬と関係が築けるであろうと思います。

昔出逢った知り合いのドイツ人の方は、一生懸命動物の声をマイクでレコーディングして、それを元に「何を考えているか」を研究することを仕事とされていました。非常に興味深いですよね。

まずは、犬が何を考えているかから考えて生きたいと思います。
by takuyashimomura (2010-02-18 19:42) 

くま

はじめまして。ここにメッセージして良いのか分かりませんが、質問させて下さい。
私は後2日でロンドンに行くのですが、シェルターなどでボランティアしたいと思っています。RSPCAやDogs Trustなどいろいろあって何処なら出来るのか分かりません。Batterseaはもう募集していないとメールがきました。Blue Crossは留学生でもボランティア出来ますか?
突然すみません(*´;ェ;`*)  
宜しくお願いします。
by くま (2010-03-19 20:54) 

takuyashimomura

くまさん

初めまして、こんにちは!又、コメント有難う御座います!

ロンドンでの活動を考えた事は無いので、詳しくはわかりませんが助けられる事もありそうなので、是非下記まで詳しい内容(滞在期間など)を教えてください。

また、今月の26日にはロンドンに行く予定にしておりますので、是非その機会にお逢いしましょう。

それでは、メールお待ちしております。

shimotakkun@msn.com
by takuyashimomura (2010-03-20 02:36) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。